【2024年最新】相続時精算課税制度のポイントについて税理士が解説!

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、財産を贈与した際に選択できる贈与税の制度です。

原則、60歳以上の父母、または祖父母などから、18歳以上の子、または孫などに対し、財産を贈与した際、その翌年の2月1日から3月15日の間に、一定の書類に加え、選択届出書を提出することで利用可能となります。相続時精算課税制度を選択すると、受贈者(財産をもらう側)は、2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与者(財産をわたす側)が亡くなった際、その贈与財産の贈与時の価額と、相続財産の価額とを合計した金額がから相続税額を計算し、一括して相続税として納税することになります。

ただし、相続時精算課税制度を選択した場合は、その選択をした年以降、暦年課税への変更ができなくなります。暦年課税とは、受贈者がその年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額の110万円を超えた金額に贈与税がかかるという制度です。相続時精算課税と暦年課税は、いずれも節税対策として用いられることが多いですが、どちらを選択すべきかについては、個々の事情によって大きく異なります。

新ルールにより変化する点(2024年1月以降)

相続時精算課税制度は、2024年1月以降に新ルールが追加されることになりました。これまで相続時精算課税制度を選択した場合、すべての贈与財産が相続税の計算に含まれていましたが、新ルールとして贈与税の基礎控除である年間110万円は、相続税の計算に含まれないことになりました。さらに、110万円以内であれば贈与税の申告も不要となります。

また相続時精算課税制度の新ルールに合わせて、通常の贈与である暦年課税についても新ルールが始まります。2024年1月以降の贈与については、亡くなる前7年分を相続税の計算に含めなければならなくなります。これまでは、亡くなる前3年分を相続税の計算に含めるルールでしたが、4年分が追加され、事実上の増税となります。

こうした税制度の変更により、110万円の基礎控除を相続税の計算に含める必要のなくなった相続時精算課税制度を選択したほうが有利になる方が増えます。とはいえ個々の事情によっても異なるため、相続時精算課税制度を選択する際は事前に専門家に相談しましょう。

相続時精算課税制度の手続き

相続時精算課税制度は、申告しなければ利用することができません。手続きとしては、以下の書類を作成、添付書類を用意し、管轄の税務署に届け出る必要があります。

作成する書類

贈与税の申告書

いつ、だれから、どんな財産を、いくら贈与されたか、といった内容を記載する書類です。これまでは、贈与税がかからない場合も毎年申告書の作成が必要でしたが、新ルール適用以降は、110万円以内であれば作成する必要がなくなります。

相続時精算課税選択届出書

相続時精算課税選択届出書とは、受贈者が本年以降に贈与者から受けたすべての財産について、相続時精算課税制度の選択を宣言する書類です。この書類を1度税務署へ提出してしまうと、取り下げることはできないため慎重に判断しましょう。

添付する書類

戸籍謄本(抄本)

添付書類としては、受贈者の氏名、年月日の確認ができ、受贈者が贈与者の推定相続人(このまま亡くなれば法的相続人になる人)である子、又は孫であることがわかる戸籍謄本(抄本)です。受贈者および贈与者の本籍地のある市区町村役場にて取得ができます。

相続時精算課税制度を利用した方がいいケース

ケース①相続財産が相続税の基礎控除内に収まる

受贈者の財産が相続税の基礎控除内に収まる方は、相続時精算課税制度を利用する価値が十分にあります。相続時精算課税制度の新ルールによって、年間110万円までは贈与税が課税されなくなります。よって、毎年のように生前贈与を行ってきたとしても、将来的に基礎控除に関連する法改正がない限り、贈与税・相続税が課税されることはありません。

ケース②将来的に値上がりが予想される財産がある

将来的に値上がりが予想される財産がある場合は、相続時精算課税制度の利用を検討しましょう。たとえば、現在の評価額が2,000万円の土地が、将来的に都市計画などによって値上がりが予想される場合、相続時精算課税制度を利用して贈与すれば贈与税はかかりません。その後、土地が3,000万円に値上がりしたとしても、相続税の計算は当時の金額である2,000万円が適用されるため、結果として1,000万円分相続財産を減らせたことになります。

相続時精算課税制度を利用しない方がいいケース

ケース①小規模宅地などの特例を利用したい

相続時精算課税制度を利用して土地などを贈与した場合、その土地は相続時に小規模宅地等の特例による減額措置を使うことができません。いったんは贈与税がかからなかったとしても、土地については相続税が高額になる恐れがあるため、小規模宅地等の特例の利用が可能な土地があるケースでは、相続時精算課税制度の利用は慎重に判断しましょう。

ケース②相続発生後に評価額が下がると予想される財産がある

相続時精算課税制度を利用したタイミングよりも、相続発生後に評価額が下がっていると予想される財産がある場合、利用は慎重に判断すべきです。相続発生後、相続時精算課税制度を利用していた場合は、その当時の評価額が相続財産として反映されます。しかし、相続発生後に評価額が下がってしまえば、結果として多く税金を納める可能性があります。

相続時精算課税制度を活用した節税の注意点

相続時精算課税制度を活用した節税がしたい場合、不動産を贈与する場合は「共有」に注意する必要があります。たとえば、ある不動産を妻と子に対して2分の1ずつ贈与する場合、不動産価額も2分の1されるため、相続時精算課税制度の控除額である2,500万円以内に収まることがあります。これで贈与税がかかることはありません。

しかし、不動産が共有状態にある場合、共有者全員の同意がなければ不動産の運用や売却といったことができません。将来的に、妻と子に溝が生じることがあれば、不動産の有効利用ができなくなってしまう危険があります。このように、相続時精算課税制度には思わぬ落とし穴が多数あるため、制度を活用した節税を検討する際は専門家への相談を推奨します。

相続時精算課税制度に関するお悩みならお早めにご相談ください

以上のとおり、2024年1月以降から、相続時精算課税制度に新ルールが追加されます。それに合わせて、暦年課税制度についても新ルールが適用され、結果として相続時精算課税制度の利用を検討したほうが、節税になる可能性がぐっと高くなります。しかし、相続時精算課税制度は、税務署に選択届出書を提出しない限り利用ができない制度です。いつまでも利用しないでいると、結果として相続税を多く納めることにもなりかねません。もし、相続時精算課税制度に関するお悩みがあればお早めにご相談ください。

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